定着支援

「ちゃんと言ったのに伝わらない」外国人スタッフに指示が届かない本当の理由

「ちゃんと言ったのに伝わらない」外国人スタッフに指示が届かない本当の理由

「あれだけ丁寧に説明したのに、まったく違うことをされた」。外国人スタッフと働く現場で、こんな経験はないでしょうか。つい「理解力が足りないのかな」と思ってしまいがちですが、原因はたいてい別のところにあります。それは、日本語の指示そのものが曖昧だったということ。日本語は「察してもらう」ことを前提にした言語で、私たちは無意識に主語や締切、程度を省いています。日本人どうしなら埋まる“行間”が、背景を共有していない相手には、そっくり空白として残ってしまうのです。本記事では、なぜ伝わらないのか、そしてどう言い換えれば伝わるのかを整理します。

※これは「日本語が下手」という話ではありません。伝わらない原因の多くは、受け手ではなく指示の出し方にあります。言い方を少し変えるだけで、同じ相手でも伝わり方は大きく変わります。

日本語は「察してもらう」言語

日本語は、文脈や関係性に頼って情報を省略する「ハイコンテクスト」な言語だと言われます。次のような指示に、心当たりはないでしょうか。

日本語話者どうしなら、これでも「まあ、あれね」と通じてしまいます。しかし外国人スタッフにとっては、判断の手がかりが言葉の中にありません。結果として、自己流で進めるか、動けずに固まるか、のどちらかになりがちです。伝わらないのは、能力ではなく“情報の欠け”のせいなのです。

「伝わる指示」は、たった3つで変わる

むずかしい言語スキルは要りません。曖昧な言葉を、具体的な言葉に置き換えるだけで、指示は驚くほど届くようになります。

コツは「いつまでに・何を・どの状態にするか」を、数字と動作で言い切ること。「なるはやで」→「15時までに」、「きれいにして」→「棚を拭いて、箱を左に寄せて」。これだけで、行動に迷いがなくなります。

今日から使える「伝わる指示」の原則

  • 数字で示す:「少し」「たくさん」ではなく「3個」「10分」
  • 動作で示す:「ちゃんと」ではなく「◯◯を拭く」「◯◯を確認する」
  • 締切を言い切る:「なるはやで」ではなく「◯時まで」
  • 復唱してもらう:「何をする?」と聞き返し、認識のズレをその場で直す

こうした「やさしい日本語」は、外国人だけでなく、新人や高齢の従業員にも伝わりやすくなります。特別な準備なしに、今日の朝礼から始められる改善です。日本語や職場文化の学習そのものを底上げする取り組みは「外国人材の定着率を上げる|日本語教育とオンボーディングの実践法」も参考にしてください。

伝え方は、定着にも直結する

指示が伝わらない状態が続くと、ミスが増え、注意する回数が増え、お互いに疲れていきます。「怒られてばかり」と感じた外国人スタッフが、自信をなくして早期に離職する——こうした悪循環の入り口が、実は日々の“曖昧な指示”だったりします。逆に、伝わる指示は「わかった」「できた」の成功体験を積み重ね、信頼と定着につながります。伝え方は、思っている以上に重要なマネジメントスキルなのです。早期離職の防止という観点でも、まず見直す価値があります。

まずは、自分の“曖昧さ”を測ってみる

とはいえ、自分の指示がどれくらい曖昧かは、自分ではなかなか気づけないものです。そこで役立つのが、JOLの無料診断「あなたの指示、伝わってません診断」です。10問・約1分の質問に答えるだけで、あなたの「曖昧指示度」をスコアで見える化し、タイプ別に「どんな言い換えをすれば外国人スタッフに伝わるか」がわかります。ゲーム感覚で試せて、結果は同僚とシェアも可能。まずは気軽に、自分の伝え方をチェックしてみてください。きっと「あ、これ言ってるかも」という発見があるはずです。

よくある質問

なぜ「ちゃんと言った」のに外国人スタッフに伝わらないのですか?
日本語は、文脈や察しに頼る「ハイコンテクスト」な言語だからです。『適当にやっておいて』『なるはやで』のような曖昧な表現は、日本語話者どうしなら通じても、背景を共有していない外国人スタッフには具体的な行動に結びつきません。伝わらないのは本人の能力の問題ではなく、指示の出し方の問題であることが多いのです。
「伝わる指示」のコツは何ですか?
『いつまでに・何を・どの状態にするか』を、あいまいな言葉を避けて具体的に伝えることです。『なるはやで』ではなく『15時までに』、『きれいにして』ではなく『棚を拭いて箱を左に寄せて』のように、数字と動作で示します。最後に相手に復唱してもらい、認識のズレをその場で確認するのも効果的です。
やさしい日本語とは何ですか?
難しい言葉や曖昧な言い回しを避け、短く・具体的に伝える日本語のことです。一文を短くする、二重否定を避ける、擬態語や慣用句を使いすぎない、といった工夫で、外国人にも高齢者にも伝わりやすくなります。特別な外国語スキルがなくても、言い方を変えるだけで実践できます。
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