特定技能外国人が過去最多の44万人に——2号は半年で2.3倍。最新データから読む「採用競争時代」の受け入れ戦略
出入国在留管理庁は2026年9月29日、在留資格「特定技能」で日本に在留する外国人が2026年6月末時点で44万4,256人となり、過去最多を更新したと発表しました。2025年末からの半年間で13.8%の増加です。なかでも注目すべきは、在留更新の上限がない特定技能2号が2.3倍の1万8,295人へ急増したこと。この数字は、受け入れ企業にとって「人材が増えて採用しやすくなる」という単純な話ではありません。本記事では、発表されたデータの中身と、そこから読み取れる採用・定着環境の変化、受け入れ企業がいま打つべき手を整理します。
何が発表された?——半年で13.8%増、1号・2号ともに過去最多
今回発表されたのは、2026年6月末時点の特定技能在留外国人数です。ポイントは次のとおりです。
- 総数は44万4,256人で過去最多。2025年末(約39万人)から半年で13.8%増
- 特定技能1号は42万5,961人(2025年末比11.4%増)。通算5年を上限に働ける、制度の中心となる資格です
- 特定技能2号は1万8,295人で、2025年末比2.3倍。在留更新に上限がなく、家族帯同も可能な「熟練人材」の資格です
- 国籍別ではベトナムが最多で、インドネシア、ミャンマーが続きます
- 都道府県別では愛知、東京、大阪、埼玉、千葉の順に多く、都市部・製造業集積地への集中が見られます
特定技能制度は2019年の開始から7年で、技能実習と並ぶ外国人雇用の中心的な制度に成長しました。制度の基本をおさらいしたい方は「特定技能とは?技能実習との違いと採用のポイント」をご覧ください。
数字が示す3つの変化——「採用しやすい」ではなく「競争が本格化」
このデータから、受け入れ企業の実務に関わる3つの変化が読み取れます。
① 受け入れ企業同士の採用競争が激しくなっている——在留者数の増加は、それだけ多くの企業が特定技能人材の受け入れに参入していることの裏返しです。特定技能には転職の自由があるため、すでに日本で働いている44万人も「より条件の良い職場」への移籍候補になりえます。賃金や支援体制で見劣りする企業は、新規採用でも在籍人材の引き留めでも不利になっていきます。
② 2号の急増=「5年で帰る前提」が崩れ始めた——2号が2.3倍に増えた背景には、2023年の対象分野拡大(2分野→11分野)に加え、制度初期に来日した1号人材が通算5年の在留上限を迎える時期に入ったことがあります。つまり、長く働き続けたい人材と、長く働いてほしい企業のマッチングが制度として回り始めたということです。2号移行には試験合格とリーダー経験などの実務経験が必要なため、「会社が移行を支援してくれるか」が人材から見た職場選びの基準になりつつあります。2号の要件は「特定技能2号とは?1号との違い・対象11分野・『5年の壁』を超えるキャリアパス設計」で詳しく解説しています。
③ 都市部集中——地方は「選ばれる理由」の設計がより重要に——在留者は愛知・東京・大阪など都市部に集中しています。地方の企業が人材を確保するには、賃金だけでなく、住居・生活支援、日本語学習の機会、キャリアの見通しといった「ここで働き続ける理由」をパッケージで示すことが、都市部以上に重要になります。
受け入れ企業がいま打つべき手——キャリアと学習支援の「見える化」
採用競争時代の打ち手は、突き詰めると「選ばれる職場」を仕組みで示すことです。2027年4月には育成就労制度も始まり、育成就労(3年)→特定技能1号(5年)→特定技能2号(上限なし)という最長10年超のキャリアパスが制度上つながります。この流れを本人に示せる企業と示せない企業で、採用力の差はさらに開いていくでしょう。
採用競争時代の受け入れチェックリスト
- 待遇の点検:同地域・同業種の相場と比べて見劣りしていないか。昇給の基準と時期を本人に説明できるか
- キャリアパスの提示:2号移行(または育成就労からの特定技能移行)までの道筋を、入社時から本人と共有できているか
- 日本語学習の支援:2号試験や各種要件に関わる日本語力の向上を、会社として支援し、進捗を把握できているか
- 相談体制:不満や不安が「転職の決意」に変わる前に拾える面談・相談の仕組みがあるか
- 在留管理の正確さ:在留期限・届出の管理ミスは本人のキャリアを直接傷つけます。台帳やダッシュボードで一元管理できているか
定着支援の具体策は「外国人材の定着率を上げる|日本語教育とオンボーディングの実践法」を、2027年に始まる育成就労制度の全体像は「育成就労制度がスタート|技能実習からの移行で企業が知るべきこと」をあわせてご覧ください。特定技能44万人時代は、人材にとって選択肢が増えた時代です。裏を返せば、職場の魅力と支援体制がそのまま採用力・定着力になる時代が本格的に始まったと言えます。
