登録支援機関とは?特定技能の義務的支援10項目と自社支援の条件をわかりやすく解説
特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、仕事と生活の両面を支える「支援計画」の作成・実施が義務づけられています。この支援業務を丸ごと委託できる相手が「登録支援機関」です。ただ、実際に受け入れを検討しはじめると、「全部おまかせでいいのか」「自社でやれば費用は浮くのか」「委託したら会社は何もしなくていいのか」と迷うポイントが次々に出てきます。本記事では、義務的支援10項目の中身、委託と自社支援の分かれ目、そして委託しても会社に残る仕事を、受け入れ企業の目線で整理します。
支援計画と「義務的支援」10項目——対象は特定技能1号のみ
特定技能1号で受け入れる場合、企業は1号特定技能外国人支援計画を作成し、そのとおりに支援を実施しなければなりません(2号には支援義務はありません)。支援計画に必ず盛り込む「義務的支援」は、次の10項目です。
- ① 事前ガイダンス(雇用契約・入国手続・費用負担などの説明)
- ② 出入国の際の送迎
- ③ 住居確保・生活に必要な契約(口座開設・携帯電話など)の支援
- ④ 生活オリエンテーション
- ⑤ 公的手続等への同行
- ⑥ 日本語学習の機会の提供
- ⑦ 相談・苦情への対応
- ⑧ 日本人との交流促進
- ⑨ 転職支援(会社都合で雇用契約を解除する場合)
- ⑩ 定期的な面談の実施、行政機関への通報
ポイントは2つ。10項目はすべて実施が必須であること、そして支援に要する費用は会社側の負担で、直接・間接を問わず外国人本人に負担させられないことです。「日本語学習は本人任せ」「面談は困ったときだけ」という運用は、制度上そもそも認められていません。
委託か自社支援か——分かれ目は「体制」を組めるかどうか
この支援は、登録支援機関に全部委託するか、自社で実施するかを選べます。登録支援機関は出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関で、全部委託すれば、会社は支援体制に関する基準を満たしたものとして扱われます。委託費用は機関や支援内容によって幅がありますが、1人あたり月額2〜3万円程度が目安と言われます。
一方、自社支援には主に次のような条件があります。
- 過去2年以内に中長期在留者(就労資格)の受け入れ・管理の実績があること
- 役職員の中から支援責任者・支援担当者を選任すること(中立的な立場であることが必要)
- 外国人が十分に理解できる言語で支援を実施できる体制があること
- 支援の実施状況を文書で記録し、保管すること
「費用が浮くから自社で」と考える前に、母国語での相談対応や公的手続への同行を、担当者の通常業務と両立できるかを具体的に想像してみてください。体制が回らず支援が形骸化すると、指導や受け入れ停止のリスクにつながり、かえって高くつきます。
委託しても残る「会社の仕事」と、委託先選びのポイント
全部委託すると支援業務は登録支援機関が担い、支援実施状況に関する届出も委託先が行います。ただし、それ以外の義務は会社に残ります。雇用契約や労務管理はもちろん、特定技能所属機関としての定期届出・随時届出、ハローワークへの外国人雇用状況の届出は、委託していても会社側の仕事です。「委託したから届出も全部おまかせ」という誤解は、届出漏れのよくある原因になっています。
また、登録支援機関は全国に1万を超える登録があり、対応の質には正直なところ差があります。委託先を選ぶ際は、次の点を確認しておくと安心です。
登録支援機関を選ぶときのチェックリスト
- 自社の外国人材の母国語に対応できるか(対応言語と体制)
- 自社と同じ業種・地域での支援実績があるか
- 料金の内訳が明確か(義務的支援の範囲とオプションの線引き)
- 定期面談・相談対応の頻度と方法(対面か、オンラインか、緊急時は?)
- 支援記録や面談内容を会社に共有してくれる仕組みがあるか
支援は「記録に残る形」で回すことが定着への近道
義務的支援は、実施するだけでなく記録が残っていることが重要です。定期届出や地方出入国在留管理局の実地調査では、面談記録や支援の実施状況が確認されます。委託している場合でも、支援記録・在留期限・日本語学習の進捗を会社側でも一元的に把握しておくと、届出や更新のたびにあわてずに済み、本人の変化(相談の増加、学習の停滞など)にも早く気づけます。在留情報を一元管理する考え方は「在留資格の管理を効率化|期限切れを防ぐダッシュボード活用術」を、特定技能制度の全体像は「特定技能とは?技能実習との違いと採用のポイント」をあわせてご覧ください。
