特定技能の定期届出・随時届出とは?年1回化で変わったルールと「14日以内」の落とし穴
特定技能外国人を雇用する企業(特定技能所属機関)には、出入国在留管理庁への届出義務があります。「協議会に入って、在留資格が下りたら終わり」ではなく、雇用が続くかぎり定期届出と随時届出という2種類の報告がついて回ります。この届出、2025年4月の改正で定期届出が「四半期ごと(年4回)」から「年1回」に大きく変わりました。事務負担は軽くなった一方で、「届出は年1回でよくなった」と思い込み、14日以内が原則の随時届出を出しそびれるケースが目立ちます。本記事では、届出義務の全体像と改正後のルール、出し忘れを防ぐふだんの管理のしかたを整理します。
定期届出は「年1回」に——対象期間と提出期限を押さえる
まず定期届出から。改正前は四半期(3か月)ごとに「受入れ状況」「支援実施状況」「活動状況」の3種類を提出する必要がありましたが、2025年4月1日施行の改正で次のように変わりました。
- 頻度:四半期ごと(年4回)→ 年1回
- 対象期間:毎年4月1日〜翌年3月31日(年度単位)
- 提出期限:対象年度の翌年度4月1日〜5月31日
- 様式:受入れ・活動状況と支援実施状況の届出書が一体化・簡素化
2026年の春(4月1日〜5月31日)に提出したのが、改正後はじめての年1回届出でした。次回は2026年4月1日〜2027年3月31日分を、2027年4月1日〜5月31日に提出することになります。いま(2026年9月)はちょうど対象年度の折り返し前。「来年の春にまとめて考えればいい」ではなく、いまの記録の付け方が来春の届出の質を決めるタイミングです。
なお、支援計画の実施を登録支援機関に全部委託している場合、支援実施状況の報告は登録支援機関側が担うため、自社の届出負担はさらに軽くなります。ただし後述のとおり、委託していても会社に残る義務はあります。
もうひとつ注意したいのは、年1回になったのは「届出」だけだということ。特定技能1号の支援として求められる3か月に1回以上の定期面談などの支援業務は、従来どおり続ける必要があります。届出の頻度が下がったぶん、1回の届出に1年分の正確な記録が求められるようになった、と捉えるのが実務的です。
随時届出は今も「14日以内」——出しそびれやすい5つの場面
定期届出が年1回になった一方で、随時届出のルールは変わっていません。届出事由が発生してから14日以内(郵送の場合は14日以内に必着)に、管轄の地方出入国在留管理局へ提出するのが原則です。主な場面は次の5つです。
- ① 特定技能雇用契約の変更・終了・新規締結——給与や職務内容、就業場所の変更、退職・転職、契約更新に伴う締結など
- ② 支援計画の変更——支援責任者・支援担当者の交代、支援内容の変更など
- ③ 登録支援機関との支援委託契約の締結・変更・終了——委託先の切り替えを含む
- ④ 受け入れが困難になったとき——経営悪化による雇用継続困難、本人の行方不明など
- ⑤ 出入国・労働関係法令に関する不正行為等を知ったとき
実務で多いつまずきは、「社内では小さな変更」が届出事由に当たると気づかないパターンです。たとえば昇給や配置転換、支援担当者の異動は、社内手続きとしては日常業務ですが、入管への随時届出が必要になり得ます。人事異動や労働条件変更のワークフローに「特定技能の届出要否チェック」を1ステップ組み込んでおくと、抜け漏れが大きく減ります。
万が一14日を過ぎてしまった場合は、放置がいちばん危険です。ただちに届出書を作成し、遅延理由を説明する文書(理由書)を添えて提出しましょう。
出し忘れのリスクと、ふだんの管理のしかた
届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合、罰金(雇用契約に関する届出などでは30万円以下)や指導・改善命令の対象になり得ます。さらに重要なのは、届出義務違反で処罰されると欠格事由に該当し、以後5年間、特定技能外国人の受け入れができなくなるおそれがあることです。「書類を1枚出し忘れた」では済まない、受け入れ体制そのものに関わるリスクだと捉えておきましょう。
また、混同しやすいのが、ハローワークへの外国人雇用状況の届出です。こちらは労働施策総合推進法にもとづく厚生労働省側の届出で、入管への定期届出・随時届出とは根拠法も提出先も別。特定技能外国人の雇入れ・離職時には両方への対応が必要です。
届出の出し忘れを防ぐチェックリスト
- 年間カレンダーに固定:毎年4月1日〜5月31日を定期届出の提出期間として登録(対象は前年度分)
- 記録は「その都度」:受け入れ状況・面談記録・支援実施の記録を日々残し、年度末にさかのぼらない
- 人事ワークフローに組み込む:労働条件変更・配置転換・退職の手続きに「随時届出の要否確認」を1ステップ追加
- 委託範囲を明確に:登録支援機関に委託している場合も、どの届出を誰が出すのか役割分担を文書で確認
- オンライン提出を活用:出入国在留管理庁の電子届出システムを使えば、窓口に出向かずに提出可能
特定技能の受け入れでは、協議会への加入から在留期限の管理、そして本記事の定期・随時届出まで、期限つきのタスクが年間を通じて発生します。担当者の頭の中やExcelだけで回すのではなく、在留資格・期限・面談記録・届出履歴を一元的に見える化する仕組みを整えることが、出し忘れ防止のいちばんの近道です。管理のやり方は「在留資格の管理を効率化|期限切れを防ぐダッシュボード活用術」もあわせてご覧ください。
