在留手続の手数料が10月1日から大幅引き上げ——更新・変更は一律6,000円から最大75,000円の段階制に、永住は20万円。受け入れ企業が押さえるべき実務ポイント

在留手続の手数料が10月1日から大幅引き上げ——更新・変更は一律6,000円から最大75,000円の段階制に、永住は20万円。受け入れ企業が押さえるべき実務ポイント

2026年10月1日から、在留資格の変更許可・在留期間更新許可・永住許可にかかる手数料(在留許可手数料)が大きく変わりました。これまで在留期間の長さにかかわらず一律6,000円(窓口申請の場合)だった変更・更新の手数料は、許可される在留期間に応じた段階制となり、窓口申請では最大75,000円に。永住許可は10,000円から200,000円へと20倍になりました。特定技能や技能実習のように1年以下の在留期間で毎年更新を繰り返す在留資格を多く抱える受け入れ企業にとって、これは「本人の問題」では済まないコスト構造の変化です。本記事では、改定の中身と適用ルール、そして受け入れ企業がいま整えておくべき3つの対応を整理します。

※本記事は2026年10月11日時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。区分ごとの正確な手数料額や減額・免除の要件は、出入国在留管理庁の最新の案内や行政書士など専門家にご確認ください。

何がどう変わったのか——「一律6,000円」から「在留期間に応じた段階制」へ

今回の改定は、2026年5月29日に成立した改正入管法で手数料の上限額が引き上げられ、8月に政令で具体額が定められたものです。在留外国人の増加に伴う共生施策の財源として、「施策による受益の程度は在留期間によって異なる」という考え方から、許可される在留期間が長いほど手数料も高くなる段階制が採用されました。報道等で伝えられている窓口申請の新しい手数料は、おおむね次のとおりです。

在留資格変更・在留期間更新の手数料(窓口申請・2026年10月1日以降の申請分)

  • 3月以下:10,000円
  • 3月超〜6月以下:18,000円
  • 6月超〜1年未満:25,000円
  • 1年:33,000円
  • 1年超〜3年未満:48,000円
  • 3年以上〜5年未満:64,000円
  • 5年以上:75,000円
  • 永住許可:200,000円(改定前は10,000円。一定の要件に該当する場合の減額の仕組みあり)

押さえておきたいルールは3つあります。第一に、適用は「申請日」基準であること。2026年9月30日までに行われた申請は、許可が10月以降にずれ込んでも改定前の額(窓口6,000円等)で済みます。第二に、手数料は申請時ではなく許可時に、実際に許可された在留期間に応じて納付すること。つまり申請の時点では、最終的にいくらになるか確定しません。第三に、オンライン申請(在留申請オンラインシステム)は窓口より低額に設定されていることです。たとえば1年の許可なら窓口33,000円に対してオンラインは27,000円、5年以上なら窓口75,000円に対して65,000円と報じられています(別途、少額の決済手数料がかかります)。あわせてオンライン申請の納付方法は収入印紙からコンビニ決済・銀行決済に変わりました。

受け入れ企業への影響——「毎年更新」の特定技能・技能実習ほど効いてくる

今回の改定で負担感が最も大きいのは、実は高度人材ではなく、1年以下の在留期間で更新を繰り返す層です。特定技能1号の在留期間は1年・6月・4月のいずれか、技能実習も1年前後の期間で更新・変更が発生します。たとえば特定技能1号の社員が1年ごとの許可で5年間在留すると、更新のたびに33,000円——従来の5倍以上——がかかる計算になります。「日本人と同等以上の報酬」要件のもとで賃金水準を整えてきた企業でも、こうした手続コストの急増は想定外だったのではないでしょうか。

ここで必ず整理しておきたいのが「誰が負担するのか」です。在留許可手数料は法令上、許可を受ける外国人本人が納付するもので、会社に負担義務はありません。一方、実務では更新手続を会社が取り次ぐ流れでそのまま会社が負担してきた例も多く、「今までなんとなく会社が払っていた」「本人任せで把握していない」という企業も少なくないはずです。金額が6,000円から数万円に跳ね上がった以上、曖昧なままでは本人との認識ずれやトラブルのもとになります。雇用条件書や社内規程で負担ルールを明文化すること、そして本人負担とする場合でも給与からの天引きには労使協定(賃金控除協定)が必要で、協定なしの控除は労働基準法24条違反になることは、このタイミングで必ず確認しておきましょう。なお、永住を目指している社員にとっては20万円への引き上げはかなり大きな変化です。相談を受けたら、減額の仕組みを含めて出入国在留管理庁の案内を一緒に確認できるようにしておくと信頼につながります。

いま取るべき3つの対応——オンライン化・負担ルールの明文化・期限管理の徹底

第一に、オンライン申請への移行です。同じ許可でも窓口よりオンラインのほうが低額に設定されており、1年の許可で6,000円、5年以上で10,000円の差がつきます。所属機関の職員が本人に代わって申請できる仕組みもあるため、まだ窓口申請が中心の企業は、これを機にオンライン申請の利用登録を検討する価値があります。

第二に、前述の負担ルールの明文化です。会社負担・本人負担・折半のいずれにするのか、オンライン申請を標準とするのか、永住申請など私的な申請は対象外とするのか——方針を決めて雇用条件書や規程に落とし込み、本人に説明しておきます。採用時に「更新費用は会社が負担します」と伝えられることは、転職が当たり前になりつつある特定技能の採用市場では待遇面のアピールにもなります。

第三に、期限管理と計画的な申請です。手数料が上がったことで、「期限ぎりぎりに気づいて慌てて申請する」ことのリスクはこれまで以上に大きくなりました。在留期間更新は満了日のおおむね3か月前から申請できます。余裕をもって書類を整え、本人の就労実績や雇用管理の状況をきちんと示して申請することは、審査の安定だけでなく、より長い在留期間の許可にもつながります。1回あたりの手数料は在留期間が長いほど高くなりますが、たとえば1年×5回(累計165,000円)と5年×1回(75,000円)を比べれば、長い期間の許可を得られるほうが累計負担は小さく、手続の手間も減るのです。在留期限・在留資格・申請履歴を台帳で一元管理し、満了日から逆算して動ける体制を整えることが、結局いちばんの「手数料対策」になります。

よくある質問

2026年9月30日までに申請していた場合、手数料はどうなりますか?
改定前の金額が適用されます。新しい手数料が適用されるかどうかは「申請日」が基準で、2026年9月30日までに行われた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額(変更・更新は窓口6,000円等)を納付します。逆に10月1日以降に申請した分は、許可された在留期間に応じた新しい手数料になります。
在留手続の手数料は、会社と本人のどちらが負担すべきですか?
手数料は法令上、許可を受ける外国人本人が許可時に納付するものとされており、会社に負担義務はありません。ただし実務では、更新手続を会社がサポートする流れで会社が負担してきた例も少なくありません。金額が大きくなったことで曖昧なままにするとトラブルのもとになるため、どちらが負担するのかを雇用条件書や社内規程で明文化しておくことをおすすめします。なお、本人負担とする場合でも、給与から天引きするには労使協定(賃金控除協定)が必要で、協定なしの天引きは労働基準法違反となる点に注意してください。
手数料の負担を少しでも抑える方法はありますか?
まず、オンライン申請(在留申請オンラインシステム)は窓口申請より低額に設定されています(例:1年の許可で窓口33,000円に対しオンライン27,000円。別途少額の決済手数料がかかります)。また、手数料は許可される在留期間が長いほど1回あたりの額は高くなりますが、更新の頻度が下がるため、累計では長い在留期間の許可のほうが負担が小さくなる傾向があります。日頃の適正な雇用管理や本人の安定した就労実績は、より長い在留期間の許可にもつながります。永住許可については、一定の要件に該当する場合に減額される仕組みも設けられているため、該当しそうな場合は出入国在留管理庁の案内を確認してください。
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更新1回で数万円の時代。期限管理のミスは、もうお金の問題です。

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