外国人雇用管理指針が3段階で改正——10月1日から「待遇差の説明を求められる」明示が義務化。特定技能・技能実習も対象になる理由をわかりやすく解説

外国人雇用管理指針が3段階で改正——10月1日から「待遇差の説明を求められる」明示が義務化。特定技能・技能実習も対象になる理由をわかりやすく解説

「うちはパートの外国人はいないから関係ない」——2026年10月1日から始まったパート・有期・派遣のルール改正を、そう読み飛ばしていないでしょうか。実は特定技能・技能実習の外国人の多くは、フルタイム勤務でも「有期雇用契約」です。10月1日以降の雇入れ・契約更新では、「正社員との待遇差の内容・理由について説明を求めることができる」旨を書面で明示することが義務になりました。しかもこの動きは単発ではなく、外国人を雇うすべての事業主が守るべき「外国人雇用管理指針」の改正が、2026年6月14日・10月1日・2027年4月1日の3段階で適用されていく流れの一部です。本記事では、10月1日に何が変わったのか、3段階改正の全体像、受け入れ企業がいま見直すべき書類と説明の実務を整理します。

※本記事は2026年10月7日時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。個別の対応については、厚生労働省・出入国在留管理庁の最新資料や専門家にご確認ください。

10月1日に何が変わった?——雇入れ時の明示事項に「待遇差の説明を求められる」が追加

パートタイマーや有期雇用契約の労働者を雇い入れるとき、事業主は従来から「昇給の有無」「賞与の有無」「退職金の有無」「相談窓口」を文書などで明示する義務がありました。2026年10月1日からはここに、「通常の労働者(いわゆる正社員)との待遇差の内容・理由等について、説明を求めることができる」旨が明示事項として追加されました。派遣労働者についても同様の仕組みが整えられています。あわせて、同一労働同一賃金ガイドラインでは賞与・退職金・各種手当・休暇についての考え方が具体化され、「非正規だから」という理由だけで待遇に差をつけることへのチェックは一段と厳しくなっています。

ここで外国人雇用に引きつけて押さえたいのが、対象は「パートタイマー」に限らないという点です。パート・有期雇用労働法は有期雇用契約の労働者全般をカバーしており、1年ごとの契約更新で働く特定技能外国人や技能実習生は、フルタイムでも対象になります。労働条件の明示は新規の雇入れ時だけでなく契約更新のたびに必要なので、10月1日以降に更新を迎える外国人社員から順次、新しい様式での明示が求められることになります。雇用条件書や労働条件通知書のひな形に、待遇差の説明を求めることができる旨の一文が入っているか、まず確認してください。

外国人雇用管理指針の3段階改正——6月14日・10月1日・2027年4月1日

この10月の変更は、2026年5月29日に公布された外国人雇用管理指針(外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針)の改正とセットで動いています。指針は外国人を1人でも雇うすべての事業主が対象で、改正内容は次の3段階で適用されます。

3段階の適用スケジュール

  • ① 2026年6月14日(適用済み):外国人にも同一労働同一賃金ガイドラインが適用されることを明記。日本語学習の支援や教育訓練への配慮を努力義務として追加。外国人雇用状況届出での在留カード読取アプリの活用、届出義務違反の罰則への留意も盛り込み
  • ② 2026年10月1日(適用開始):外国人を短時間・有期雇用・派遣で雇い入れる事業主は、待遇差の内容・理由について説明を求めることができる旨を、文書の交付などで明示しなければならないことを明確化
  • ③ 2027年4月1日(予定):育成就労制度の開始にあわせ、育成就労外国人の受け入れに関する雇用管理の項目を新設。届出項目の見直しも実施

流れとして読み取れるのは、「外国人だから」という理由で待遇や説明の水準を下げることへの監視が、制度横断で強まっていることです。特定技能・技能実習には従来から「日本人と同等以上の報酬」要件があり、在留諸申請のたびに比較と説明が求められます。今回の改正で、入管審査だけでなく労働法制の側からも「正社員と比べてどうか」「本人に説明したか」が問われるようになり、賃金・待遇の説明責任が二重にかかる構図になりました。2027年4月の育成就労開始でこの傾向はさらに強まります。

受け入れ企業がいまやるべきこと——書式の改訂と「伝わる説明」の準備

対応は難しいものではありませんが、放置すると契約更新のたびに不備が積み上がります。次の3点から着手してください。

10月からの実務チェックリスト

  • ① 雇用条件書・労働条件通知書のひな形を改訂する:昇給・賞与・退職金の有無、相談窓口に加え、「待遇差の内容・理由について説明を求めることができる」旨の一文を追加。10月1日以降の新規雇入れと契約更新から適用する
  • ② 説明を求められたときの「答え」を先に用意する:比較対象となる正社員は誰か、基本給・賞与・手当ごとの差は何か、その理由をどう説明するかを整理しておく。特定技能の報酬説明書(参考様式第1-4号)で整理した比較の考え方は、そのままこの説明にも流用できる
  • ③ 本人が理解できる形で伝える:指針は外国人労働者が理解できる方法での明示・説明を求めている。やさしい日本語への言い換え、母国語の参考訳、口頭での補足をセットにし、説明した記録(日時・内容・同席者)を残す

とくに②は、やってみると「なぜこの差があるのか」を言語化できない待遇が見つかることが少なくありません。説明できない差は、外国人本人の不信感や早期離職につながるだけでなく、在留諸申請での同等報酬の説明にも跳ね返ります。今回の改正を、外国人社員の待遇を棚卸しし、賃金制度の説明力を高める機会として使うのが、結果的にいちばんの近道です。

よくある質問

特定技能外国人はフルタイム勤務ですが、今回の改正と関係ありますか?
関係あります。パート・有期雇用労働法はパートタイマーだけでなく有期雇用契約の労働者も対象で、特定技能や技能実習はフルタイムでも1年ごとなどの有期契約で雇用されているケースが大半です。10月1日以降に雇い入れる場合や契約を更新する場合は、雇用条件書などの書面に「正社員との待遇差の内容・理由について説明を求めることができる」旨の明示が必要になります。
10月1日より前から働いている外国人社員にも、すぐに明示が必要ですか?
既に締結済みの契約をさかのぼって差し替える必要はありません。ただし労働条件の明示は契約更新のたびに必要で、特定技能・技能実習は1年更新などの有期契約が多いため、次の更新のタイミングで新しい様式での明示が順次必要になります。更新時期が近い社員から雇用条件書のひな形を改訂しておくのが実務的です。
待遇差の説明は日本語で行えば足りますか?
法令上、明示や説明の言語までは指定されていませんが、外国人雇用管理指針は外国人労働者が理解できる方法で労働条件等を明示・説明するよう求めています。日本語の書面を渡すだけで本人が内容を理解できていなければ、指針が求める水準を満たしているとは言いにくく、トラブルの火種にもなります。やさしい日本語への言い換えや母国語の参考訳の添付、口頭での補足説明を組み合わせるのが現実的です。
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待遇の説明も契約更新の明示も、一人ひとりの契約条件と期限を把握できていることが出発点です。

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