特定技能が19分野に拡大——新たに加わった「物流倉庫・リネンサプライ・資源循環」の中身と、受け入れ開始までに企業ができる準備をわかりやすく解説

特定技能が19分野に拡大——新たに加わった「物流倉庫・リネンサプライ・資源循環」の中身と、受け入れ開始までに企業ができる準備をわかりやすく解説

「うちの業種でも特定技能が使えるようになると聞いたが、もう採用できるのか」——倉庫業やクリーニング業、廃棄物処理業の方から、最近よくいただく質問です。きっかけは2026年1月23日の閣議決定(分野別運用方針の変更)。特定技能1号の対象に「物流倉庫」「リネンサプライ」「資源循環」の3分野が追加され、対象分野は16から19分野に拡大しました。ただし答えを先に言うと、2026年10月時点で新3分野の受け入れはまだ始まっていません。技能評価試験や協議会といった受け入れの土台はこれから整備され、本格的な受け入れは2027年度の見込みです。本記事では、3分野それぞれの中身と、「制度に載った」から「実際に雇える」までの道のり、そして待ち時間の間に企業ができる準備を整理します。

※本記事は2026年10月14日時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。新3分野の試験日程・協議会・分野別の詳細要件は今後、所管省庁から順次公表されます。個別のケースの判断は、出入国在留管理庁・各所管省庁の最新資料や行政書士など専門家にご確認ください。

新3分野の中身——どんな業務で、何人まで受け入れられるのか

追加された3分野は、いずれも人手不足が深刻で、これまで特定技能の「すき間」に落ちていた現場です。第一の物流倉庫(所管:国土交通省)は、倉庫内での入出庫・ピッキング・梱包・仕分けといった庫内作業が対象です。EC市場の拡大で物流量が増える一方、ドライバーの労働時間規制(2024年問題)以降は倉庫側の処理能力がボトルネックになっており、特定技能「自動車運送業」の外国人ドライバーとあわせて、物流網を支える両輪として制度が整った形です。第二のリネンサプライ(所管:厚生労働省)は、ホテル・旅館や病院のシーツ・タオル・ユニフォームなどを洗濯して貸し出す事業。インバウンド需要の回復で稼働が増えるなか、担い手の高齢化が進む業界です。第三の資源循環(所管:環境省)は廃棄物処理・リサイクルの現場作業で、公表されている方針では、廃棄物処分業の許可を持ち、自社の中間処理施設で処理を行っている事業者に受け入れ先を限定する方向が示されています。

受け入れの上限となる受入れ見込数(2029年3月末まで)は、物流倉庫11,400人・リネンサプライ4,300人・資源循環900人。19分野全体では特定技能80万5,700人・育成就労42万6,200人の計123万1,900人という枠組みの内数です。見込数は「埋まったら受け入れが止まる」実質的な上限で、外食業が2026年4月から新規受け入れ停止になったのは記憶に新しいところです(仕組みは受入れ見込数の解説記事をご覧ください)。とくに資源循環の900人という枠は19分野でも最小クラスで、採用を考える企業にとっては「いつ動くか」がそのまま採否を分けかねません。

いつから雇える?——「制度に載った」と「受け入れ開始」は別物

ここが最大の注意点です。閣議決定で対象分野に加わっても、外国人本人が在留資格「特定技能1号」の許可を得るには、分野別の技能評価試験に合格し、日本語要件(JLPT N4またはJFT-Basic合格が基本)を満たす必要があります。その試験自体がまだ実施されておらず、2026年度中の整備を経て、受け入れの本格化は2027年度(2027年4月以降)の見込みとされています。受け入れ企業側も、分野ごとに設置される特定技能協議会への加入(在留申請前が原則)が必要になるため、協議会の設置・加入受付の開始も待つことになります。

もうひとつ押さえたいのが、2027年4月に始まる育成就労制度との関係です。新3分野は育成就労の対象にも含まれる見通しで、「未経験者を育成就労で3年育てて特定技能1号へ移行させる」という中長期ルートと、「試験合格者を特定技能として即戦力採用する」ルートの両方を、制度開始当初から設計できます(育成就労の対象分野の解説もあわせてどうぞ)。育成就労の対象外である自動車運送業とは対照的に、新3分野は採用チャネルの選択肢が広い分野と言えます。

新3分野・受け入れ開始までのウォッチポイント

  • 分野別運用要領の公表:業務範囲・企業要件の詳細は所管省庁(国交省・厚労省・環境省)から順次公表
  • 技能評価試験:実施団体・日程・国内/海外の試験地の発表(2026年度中に整備見込み)
  • 協議会の設置:加入受付の開始時期。在留申請前の加入が原則のため、受付開始後すみやかに
  • 受入れ見込数の消化状況:入管庁が四半期ごとに公表する分野別在留者数と上限の突き合わせ
  • 育成就労の分野別方針:2027年4月の制度開始に向けた新3分野の扱い

「待ち時間」をどう使うか——2027年度に先行するための準備

受け入れ開始を待つ半年〜1年は、何もできない時間ではありません。外食業の停止措置が示したとおり、枠が有限である以上、制度が動き出してから検討を始める企業と、初日から申請できる企業では結果が変わります。いまからできる準備は大きく3つあります。第一に受け入れ体制の設計。支援を登録支援機関に委託するか自社で行うか、誰が担当し、住居や生活オリエンテーションをどう用意するかを先に決めておきます。第二に賃金設計。特定技能には「日本人と同等以上の報酬」という審査基準があり、賃金規程と比較対象の整理は分野を問わず共通の宿題です。第三に社内の受け入れ準備。作業手順や安全ルールをやさしい日本語で教材化しておくこと、そして現場の指示の出し方を見直しておくことは、採用がいつ始まっても無駄になりません。

足元でできる採用の種まきもあります。倉庫・クリーニング・リサイクルの現場では、すでに留学生アルバイトや技能実習生(他分野)が働いているケースが少なくありません。週28時間ルールを守った適正な雇用管理と日本語学習の支援を続けておけば、試験が始まったときに「社内から最初の合格者を出す」ことも現実的な選択肢になります。制度の整備を待つのではなく、公表情報を定点観測しながら自社の準備を先に終わらせておく——それが、枠の小さい新3分野で確実に採用するいちばんの近道です。

よくある質問

特定技能に新しく追加された3分野とは何ですか?
2026年1月23日の閣議決定(分野別運用方針の変更)で、特定技能1号の対象に「物流倉庫」「リネンサプライ」「資源循環」の3分野が追加され、対象分野は16分野から19分野に拡大しました。物流倉庫は倉庫内の入出庫・ピッキング・梱包など(所管:国土交通省)、リネンサプライはホテルや病院のシーツ・タオル等の洗濯・供給(所管:厚生労働省)、資源循環は廃棄物処理・リサイクルの現場作業(所管:環境省)が対象です。
新3分野では、いつから外国人を雇えますか?
2026年10月時点では、まだ受け入れは始まっていません。在留資格の許可には分野別の技能評価試験の実施や協議会の設置といった受け入れ体制の整備が前提で、試験は2026年度中に整備が進められ、受け入れの本格化は2027年度(2027年4月以降)の見込みとされています。2027年4月に始まる育成就労制度でも新3分野は対象に含まれる見通しです。最新のスケジュールは出入国在留管理庁と各所管省庁の公表資料で確認してください。
新3分野の受け入れ上限(受入れ見込数)は何人ですか?
2029年3月末までの受入れ見込数は、物流倉庫11,400人、リネンサプライ4,300人、資源循環900人とされています。特定技能・育成就労には分野ごとに受入れ見込数という上限があり、在留者数が上限に達する見込みになると外食業のように新規受け入れの停止措置がとられます。枠が小さい分野ほど早く埋まる可能性があるため、受け入れを検討する企業は早めの準備が重要です。
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