在留外国人が過去最多の428万人に——「増える受け入れ」と「厳しくなる在留管理」が同時に進む最新統計の読み方をわかりやすく解説

在留外国人が過去最多の428万人に——「増える受け入れ」と「厳しくなる在留管理」が同時に進む最新統計の読み方をわかりやすく解説

2026年10月16日、出入国在留管理庁は、2026年6月末時点の在留外国人数が428万1,026人となり、過去最多を更新したと発表しました。2025年末から約15万5,000人(3.8%)の増加で、日本の総人口に占める割合は約3.4%。およそ30人に1人が外国人という計算です。在留資格別では永住者が96万1,342人で最多、就労系では技術・人文知識・国際業務が51万6,184人、特定技能が44万4,256人と伸び続けています。一方、同時に公表された上半期の統計からは別の顔も見えます。在留資格「経営・管理」の新規入国者は要件厳格化の影響で前年同期比80.9%の大幅減、不法残留者は半年で約5%減——つまり、「受け入れの拡大」と「在留管理の厳格化」が同時に進んでいるのです。本記事では、最新統計の内訳と背景、そして特定技能・育成就労の受け入れ企業がこの数字から何を読み取るべきかを整理します。

※本記事は2026年10月17日時点の公表情報・報道にもとづく一般的な解説です。統計の確定値や制度の詳細は、出入国在留管理庁の公式資料をご確認ください。個別のケースの判断は行政書士など専門家にご相談ください。

428万人の内訳——最多は永住者96万人、就労系は技人国51.6万人・特定技能44.4万人

まず全体像です。在留外国人428万1,026人を国籍別にみると、中国が94万1,031人で最多、ベトナムが69万3,750人、韓国が40万8,682人と続きます。ベトナムは技能実習・特定技能の送り出しが多い国で、現場で働く人材の中心層です。在留資格別では、永住者(96万1,342人)が最多で、次いで技術・人文知識・国際業務(51万6,184人)、留学(47万9,626人)、特定技能(44万4,256人)の順。特定技能のうち、在留期限の更新回数に制限がない特定技能2号は1万8,295人と、2025年末から2倍以上に急増しました。

この内訳が示すのは、企業が外国人を雇用するルートの多様化です。「外国人雇用=技能実習・特定技能」というイメージはもう古く、就労制限のない永住者・定住者などの身分系資格、オフィス職や通訳・エンジニアを担う技人国、そして週28時間以内で働ける留学生アルバイトから卒業後の正社員化につなげるルートまで、採用の選択肢は広がっています。2027年4月には技能実習に代わる育成就労制度も始まり、「育成就労で3年育てて特定技能1号へ、さらに2号へ」という長期のキャリアパスが制度として完成します。自社の人材戦略をどのルートの組み合わせで描くか、全体地図を持つことが出発点になります。

もう一つの流れ——「経営・管理」8割減と不法残留5%減が示す厳格化

今回の発表で見逃せないのが、増加一辺倒ではない数字です。2026年上半期の新規入国者は約1,970万7,000人と前年同期比0.1%の微減。中国政府の渡航自粛要請による短期滞在者の減少(57.3%減)が主因ですが、注目すべきは在留資格「経営・管理」の新規入国者が80.9%減となったことです。背景には、2025年10月16日に施行された許可基準の厳格化——資本金等の要件が500万円から3,000万円へ引き上げられ、常勤職員の雇用や日本語能力も求められるようになったこと——があるとみられます。要件を厳しくすれば入り口は劇的に絞られる。その実例が、わずか1年で数字に表れた形です。

同時に、不法残留者は7月1日時点で6万5,229人と、1月から約5%減少しました。政府の「不法滞在者ゼロプラン」のもと、入管庁が他省庁と連携して建設・解体現場などへの立ち入り調査を強化する動きも報じられています。さらにこの秋は、在留手続の手数料引き上げ(10月1日施行)、永住許可ガイドラインの改定公表、特定技能2号等への日本語能力「B1相当以上」要件の追加(2027年4月申請分から)と、厳格化・適正化のニュースが続いています。日本の外国人政策は「広く受け入れる」から「選んで受け入れ、ルールの遵守を徹底する」へと、明確に軸足を移しつつあります。受け入れ企業にとっては、在留カードの確認、外国人雇用状況の届出、在留期限の管理といった基本動作の重みがこれまで以上に増すということです。2027年4月には不法就労助長罪の罰則強化(5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金)も控えています。

「428万人時代」に受け入れ企業がやるべき3つのこと

第一に、「採れる時代」ではなく「選ばれる時代」の採用設計です。在留外国人が増えている一方で、受け入れ企業も急速に増えています。特定技能では転職が可能で、育成就労でも一定条件下での転籍が制度化されます。つまり人材は「動ける」のが前提。賃金水準だけでなく、キャリアパスの提示、日本語学習の支援、生活サポートの充実度が、採用と定着の両方を左右します。

第二に、採用ルートの複線化です。特定技能・育成就労の送り出し国からの採用に加え、国内にいる留学生や、就労制限のない永住者・定住者も有力な候補です。特に留学生は、アルバイトとして自社で働いてもらいながら相互理解を深め、卒業後に技人国や特定技能で正社員化する「パイプライン採用」が確実性の高い方法です。

第三に、コンプライアンス体制の点検です。厳格化の流れのなかで、確認・届出・期限管理の不備は企業側のリスクに直結します。採用時の在留カード原本確認とICチップ読み取り、雇入れ・離職時の届出、在留期限の一覧管理と更新時期のアラート——この基本を仕組みとして回せているか、いま一度見直してみてください。

最新統計を自社の実務に落とすチェック3項目

  • 採用計画:特定技能・育成就労だけでなく、留学生・永住者など複数ルートを比較検討しているか
  • 定着の仕組み:賃金・キャリアパス・日本語教育支援など「選ばれる理由」を提示できているか
  • コンプライアンス:在留カード確認・雇用状況届出・在留期限管理が属人化せず仕組みで回っているか

428万人という数字は、外国人とともに働くことがもはや特別ではなく、日本の職場の標準になりつつあることを示しています。同時に、制度は「きちんと受け入れ、きちんと管理する」企業を前提に設計され直しています。数字の伸びに安心するのではなく、選ばれる体制と守れる体制の両方を整えた企業が、この428万人時代の採用競争を制するはずです。

よくある質問

在留外国人428万人のうち、企業が雇用できる人はどれくらいいますか?
428万人の全員が働けるわけではありませんが、就労できる層は想像以上に広いのが実態です。在留資格別で最多の永住者(96万1,342人)は就労制限がなく、職種を問わず雇用できます。就労系では技術・人文知識・国際業務が51万6,184人、特定技能が44万4,256人。留学(47万9,626人)も資格外活動許可があれば週28時間以内のアルバイトが可能で、卒業後の正社員化ルートにもなります。「外国人雇用=技能実習・特定技能」だけでなく、複数の採用ルートを視野に入れることが重要です。
「経営・管理」の新規入国が約8割減ったのはなぜですか?
2025年10月16日に施行された在留資格「経営・管理」の許可基準の厳格化が主因とみられています。資本金等の要件が500万円から3,000万円に引き上げられたほか、常勤職員1名以上の雇用、経営者等の日本語能力などが新たに求められるようになりました。その結果、2026年上半期の「経営・管理」での新規入国者は前年同期比80.9%の大幅減となりました。要件を厳しくすれば入り口が大きく絞られることを示す実例であり、在留資格行政全体が「選んで受け入れる」方向に動いていることの象徴といえます。
今回の統計は受け入れ企業の実務に直接影響しますか?
統計の公表自体が制度を変えるわけではありませんが、示している方向性は実務に直結します。第一に、在留外国人が増え続ける一方で受け入れ企業も増えており、賃金・キャリアパス・日本語教育支援などで「選ばれる企業」になる競争は激しくなっています。第二に、不法残留対策や各種要件の厳格化が進むなか、在留カードの確認、外国人雇用状況の届出、在留期限の管理といった基本のコンプライアンスの重みが増しています。2027年4月には不法就労助長罪の罰則も強化されるため、確認・届出・期限管理の体制をいま一度点検しておくことをおすすめします。
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